インダストリアルな女
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Get Full Length Version - Purchase It In Full「外の暑さも、日が完全に沈めば落ち着くだろう。」
そう高を括っていた。完全に私の読み間違いだった。外を少し歩くだけで、じわじわと出てくる汗。一人目を即って、早くシャワーを浴びたかった。
20:00
一人でカラオケに入ろうとしている案件を発見。これはまたとないチャンスだ。
「すみませーん、この辺で時間潰せるところ探してるんですけどご存知ですか?昨日引っ越してきたばかりで全く知らないんですよね、この辺。」
間接法、道聞きオープナー。今日はひたすらこれか、あるいは持ち物オープナーで攻めようと思っていた。
「あれ?お姉さん、カラオケですか?てか、暇ですか?」
私は笑顔で続けた。
「てかV系とか好きそう。もしかして昔聞いてました?」
彼女はロングヘアだったが、片側の髪が耳にかけられ、そこからインダストリアルのピアスの穴が見えた。(インダストリアルとは耳の上部と中間部をバーベル状の長いピアスで繋いだものだ。)
「え?なんで?」
彼女は笑顔になった。ビンゴだ。
「え、だって、インダス開いてるじゃないですか。俺も昔、ほっぺに開いてたんですよ。」
私はニヤリとしながら頬を指差して言った。
「そうなんだ(笑)てか何?キャッチ?」
完全にオープンした。私は自分が至って普通のサラリーマンであること、友達にドタキャンされて時間が空いてしまったこと、終電くらいの時間から飲み会があることを告げた。
そのままカラオケの前で少しV系バンドの話をしながらお互いの情報を少しづつ開示しつつ和んだ。
「てか今日、めちゃめちゃ暑いですよね。こんな日はアイスでも食べたいなー。あ、オネーさんアイスとか好きですか?ハーゲンダッツの限定のやつめちゃめちゃ美味いんですよ(笑)」
私は、さも楽しそうに、そして独り言のようなワードを交えながら彼女に告げた。
「美味しいですよね(笑)好きですよ。(笑)」
彼女は笑顔でそう返してきた。反応は悪くない。いける、、、のか?
私はこのようなジャンルの女性は比較的得意なタイプだった。
V系が好きな女性は、依存性が強く、色に弱く、必要以上に「他人がどう思っているか」に関して過敏な傾向が強いことを、私は経験から知っていた。
そのまま、連れ出しを打診。ハーゲンダッツを用いたパーカー理論。自宅の最寄りのコンビニへ、会話を途切れさせないように、彼女の注意を会話に引き付けながら、横並びで歩く。
手早くコンビニで買い物を済ませる。彼女は会計時にしっかり財布を出し、荷物を持ってくれた。
もちろん、私がほぼ全部払ったが、良い子だな、と思った。
奢られるのが当たり前だと思ってる女子とは、もう絶対に会いたくはない。彼女から買い物の荷物を受け取り、コンビニを出てなんとなく歩く。
「え、ていうかどこで食べるのこれ(笑)溶けちゃうけど。」
彼女のからその質問が来ることは当たり前のだったし、予想していた。
「あ、ここ家なんだよね。昨日引っ越してきたばかりなんだけど。」
「え(笑)そうなの?てか近っ(笑)」
彼女は少し驚いた表情だったが、特に家グダが起きる様子は見えなかった———。
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